ブランドの考え方
「交差」という言葉
メンズとウィメンズの要素を、意識的に交差させることで、考えさせるシルエットを作り、男らしさと女らしさの、現代的な解釈を示す。それが、「クロス・ポリネーション(交配)」という、このブランドの考え方だ。
異なる花の花粉を、行き来させて、新しい物を生む。男の服の要素を女の服に、女の服の要素を男の服に。そうして、どちらの棚にも、収まりきらない服ができる。
2010 ウィメンズのはじまり
創業の頃は、メンズが中心だった。しかし、その独特の視点が、熱心なファンを生み、2010年に、ウィメンズのカプセルコレクションを発表した。メンズから生まれたブランドが、ウィメンズへ広がる。その道筋その物が、「交差」の実践だったともいえる。
2012 ニットのブランドから
2012年に、トップショップとの協業を知らせた記事は、アンダーソンを、男性用と女性用の、両方のニットで知られるデザイナーと、紹介している。協業のコレクションは、ジャージー、デニム、ニット、アウターで、アンダーソンが選んだ、鉛筆やルービックキューブ、写真集も、並んだ。アンダーソンは、自分の服を、ファッションやデザインに関心のある、誰にでも手の届くものにしたい、という趣旨を語っている。
2013 ヴェルサスで
2013年5月、ヴェルサーチの若者向けライン「ヴェルサス」の、再出発のコレクションを、アンダーソンが手がけた。ニューヨークで発表され、ガーディアン紙は、ボーイズとガールズ向けの、切り込みのある服や、レース、ゼブラ柄などが、見どころだったと伝えている。メンズのジャケットにも、ガールズ向けのベビードールの形にも、ヴェルサスの象徴の安全ピンが、入っていた。
交差の実例
2015 二つの賞を、同じ年に
2015年、JW ANDERSONは、英国ファッション・アワードで、メンズとウィメンズ、両方の「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を、同じ年に受賞した。ブランドとして、初めてのことだった。男の服と女の服を、分けずに考えるブランドが、両方の賞を受けた。
2016 ショーを、アプリで
2016年秋冬のメンズのショーでは、ゲイ向けの出会い系アプリ、グラインダーに、ライブ配信の権利を与えた。アプリの利用者は、受信箱に届いたリンクから、ショーを見ることができた。服の見せ方の面でも、これまでの枠を、少しずらした試みだった。
2017 身体をめぐる展覧会
2017年の展覧会「Disobedient Bodies(従わない身体)」は、身体の部位や、服が、身体に「従わない」さまをテーマにした。40人を超える芸術家やデザイナーの、100点を超える作品が並び、彫刻と服が、一つの空間に置かれた。男の服、女の服、という区切りより前に、「身体」を考える展覧会だった。

2020 カーディガン
2020年春夏のメンズのコレクションにあった、チェッカー柄のカーディガンは、歌手のハリー・スタイルズが着たことで、TikTokで編み物の流行を呼んだ。ハッシュタグの再生は、V&A の公式の記事によると、約4,010万回に達した。ジョナサン・アンダーソンは、編み方を公開し、V&Aは、このカーディガンを収蔵した。メンズの服が、性別を越えて、誰のものにもなった例である。

読み方のヒント
- 区切りを疑う:「これは、男の服」「これは、女の服」という前提を、一度、外してみる
- 自分の体に合わせる:サイズや形は、性別ではなく、自分の体と、好みで選ぶ
- 遊び心を見る:真面目なテーマを、ふざけたようにも見える形で、示すことがある
服を着るとき、「誰のための服か」ではなく、「自分は、どう着たいか」を考えてみる。このブランドは、その問いを、いつも、こちらに投げかけている。


