鮮やかな色の家が並ぶ、緑の野原に囲まれた北アイルランドの町
JONATHAN ANDERSON

ジョナサン・アンダーソンという人──北アイルランドからロンドンへ

北アイルランドで生まれ、俳優を目指し、衣装に出会い、ロンドンでブランドを始めた。ジョナサン・アンダーソンの来歴を、公開されている資料からたどる。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.17 | 更新 2026.10.23 | 読了 4分 イメージ画像(AI生成):北アイルランドの風景のイメージ
舞台から、服へ。
寄り道のような道のりが、この人の目をつくった。

生い立ち

1984 マヘラフェルト

ジョナサン・アンダーソンは、1984年9月17日、北アイルランドのマヘラフェルトに生まれた。父のウィリー・アンダーソンは、アイルランド代表のラグビー選手で、母は中学・高校の英語の教師だった。弟もラグビーの選手になった。祖父は、テキスタイルのデザイナーだったという。

子ども時代は、紛争の続く北アイルランドで過ごし、両親が家を持っていた、スペインのイビサ島でも、多くの時間を過ごした。性格の違う二つの場所が、のちの感性を形づくったと、本人はインタビューで語っている。小学生の頃、重い失読症と診断されたことも、明かしている。

英語版Wikipedia が引用する、2015年のガーディアン紙の取材では、今夢中になっている物は、8歳から15歳の頃に触れた物から、一番影響を受けていると思う、と話している。

舞台から、服へ

俳優を目指して

18歳のとき、俳優になろうと、アメリカへ渡った。ただ、そこで、演技よりも、衣装に興味を持つようになる。滞在先は、英語版Wikipedia がニューヨークのジュリアード音楽院と書き、ワシントンの劇場とする資料(WSJ)もあって、はっきりしない。

宝石のような色の衣装が掛かった劇場の楽屋
イメージ画像(AI生成):劇場の裏方のイメージ

ダブリンから、ロンドンへ

その後、ダブリンの百貨店ブラウン・トーマスで、ファッションに関わる、最初の仕事に就いた。ロンドンへ移り、2005年に、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを、メンズウェアのデザインで卒業している。

プラダ、そして自分の名前で

卒業後は、プラダで、ビジュアル・マーチャンダイザーとして働いた。店の空間を、どう見せるか。その経験が、のちの、服と空間を合わせて考える姿勢に繋がったと、読むこともできる。2008年、ロンドンで、自分の名前のブランド、JW ANDERSONを始めた。

鮮やかな色の布で、ブティックのウィンドウを飾りつけている様子
イメージ画像(AI生成):店のウィンドウの飾りつけのイメージ

ブランドの外へ

ロエベ、ディオール

2013年、LVMHが、JW ANDERSONの少数株を取得した際に、アンダーソンは、スペインのロエベのクリエイティブ・ディレクターに就くことが決まった。LOEWE の公式の沿革では、就任は2014年で、2025年まで務めた。2025年には、クリスチャン ディオールの、ウィメンズ、メンズ、オートクチュールの、クリエイティブ・ディレクターに任命された。

2013年の発表のとき、アンダーソンは29歳で、ロンドン東部のダルストンの、小さなスタジオで、仕事をしていた。ロエベについては、世界でも最も古い革製品の老舗の一つで、そこに、卓越した職人技を見つけた、という趣旨を述べている。

衣装の仕事

2023年2月には、歌手のリアーナが、アメリカンフットボールの決勝戦のハーフタイムショーで着た、赤い衣装をデザインした。映画の衣装も手がけ、ルカ・グァダニーノ監督の作品に、衣装デザイナーとして参加している。舞台と衣装への関心は、形を変えて、続いているように見える。

2019 V&Aの評議員

2019年2月からは、4年の任期で、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)の評議員に、任命された。服を作る人であると同時に、服を、美術館の側から支える立場にも、立ったことになる。

評価

2023年には、アメリカファッションデザイナー協議会(CFDA)の「インターナショナル・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。2024年には、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に入っている。

遠回りに見える経歴は、一つの目的に向かう、まっすぐな道ではなかった。けれど、俳優、衣装、店の空間、服。人に見られる物を、全て経験したことが、この人の仕事の幅の広さを、支えているのかもしれない。これは、編集部の見方である。

要点

POINTS
  • 1984年に北アイルランドで生まれ、俳優を目指して渡米したが、演技よりも衣装に興味を持つようになった。
  • プラダのビジュアル・マーチャンダイザーを経て、2008年に自分の名前のブランドを始めた。
  • 2014年からロエベ、2025年からクリスチャン ディオールの、クリエイティブ・ディレクターを務める。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:JW Anderson 公式サイト「About Us」 https://jwanderson.com/pages/about-us Wikipedia(英語版)「Jonathan Anderson (fashion designer)」 https://en.wikipedia.org/wiki/Jonathan_Anderson_(fashion_designer) Wikipedia(英語版)「JW Anderson」 https://en.wikipedia.org/wiki/JW_Anderson The Wall Street Journal「Jonathan Anderson Shares the Inspirations Behind His Brand and Loewe」(2016年) https://www.wsj.com/articles/jonathan-anderson-shares-the-inspirations-behind-his-brand-and-loewe-1455120504 Business of Fashion「Jonathan Anderson」 https://www.businessoffashion.com/people/jonathan-anderson/ The Gloss「Jonathan Anderson On Fashion Shows And Family Values」 https://thegloss.ie/jw-anderson-on-fashion-shows-and-family-values/ BBC News「Rihanna's Super Bowl outfit 'puts Northern Ireland on world stage'」(2023年) https://www.bbc.co.uk/news/uk-northern-ireland-64632844 The Guardian「LVMH buys stake in fashion label JW Anderson」(2013年) https://www.theguardian.com/business/2013/sep/26/lvmh-buys-stake-jw-anderson UK Government「Four trustees appointed to the Victoria and Albert Museum Board」(2019年) https://www.gov.uk/government/news/four-trustees-appointed-to-the-victoria-and-albert-museum-board The Guardian(2015年9月のインタビュー。英語版Wikipediaが引用) (公式サイトの確認日:2026年10月13日)

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