白い長い机に、大きな白いボタン、木の洗濯ばさみ、輪ゴム、クリップ、テープが付属品のように並ぶ様子
HUMOUR

カトラリー、テディベア、「Waist of Money」──MOSCHINO のユーモアの技法を読む

ナイフとフォークを縫い付けた上着、テディベアの帽子、「This is a Waist of Money」と刺繍したベルト。フランコ・モスキーノの冗談は、どんな仕組みで、服になっていたのか。報道と、後継者の言葉から読む。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.11.01 イメージ画像(AI生成):日用品で作る付属品のイメージ(実在の商品ではありません)
笑いは、服の形を、壊さないで、起こす。
仕立ては、真面目なまま、意味だけを、ずらす。

日用品を、服の部品に

ArtLark は、Britannica の記述を引いて、モスキーノの、有名な服として、ナイフとフォークで飾ったスーツ、蛇口のハンドルや、ボタン代わりのサイコロを付けた上着、テディベアで作ったコートと帽子、とんでもない駄洒落を刺繍した高価なリネンのシャツ、買い物袋のようなドレス、ゴミ袋で組み立てた夜会服を挙げている。

同じ記事は、金の安全ピンだけで作ったストラップレスのドレスのボディス、縦に並べたジッパーだけの、スカートも伝えている。モスキーノは、シュルレアリスムの影響を、強く受けていた、と説明されている。

言葉と、ロゴ

シャネルを、からかう

ArtLark が引く報道によれば、モスキーノの笑いは、しばしば、ファッションの象徴の、大げさなパロディの形を取った。金の鎖のベルトが付くはずの場所に、「This is a Waist of Money」と刺繍して、シャネルのスーツを、からかった。「Waist」(腰)と「Waste」(無駄)の、同じ音の、言葉遊びである。

Wikipedia によれば、カシミアのジャケットの背中に、金の糸で「Expensive Jacket」(高価なジャケット)と刺繍し、闘牛士風の服に、「Bull Chic」と入れた例もある。シャネルのジャケットを、派手な飾りと縁取りで、からかったとも書かれている。

拘束服のシャツ

ArtLark は、袖を、体に巻き付けて、拘束服に見せた、白い男性用のシャツも挙げる。背中には、「For Fashion Victims Only」(ファッションの犠牲者だけに)と、書かれていた。

形は、真面目に

ArtLark は、モスキーノが、よく仕立てられ、着られるスーツとドレスも作り、それを、ミトラ(司教の帽子)、飛行機、大きな電球などの形をした、奇妙な帽子と一緒に見せたと書いている。Wikipedia は、モスキーノが、ジャン=ポール・ゴルチエに、たとえられたが、本人は、スタイルが違うと指摘した、と書く。ゴルチエが、布と形を実験したのに対し、モスキーノは、基本的な形と、伝統的な手法を使った、という。

ショーウィンドウを、メディアに

ArtLark は、ミラノの最初の店の、Via Sant’Andrea のショーウィンドウが、考え、気分、意見を、伝える、場所になっていたと書いている。広告だけでなく、店の窓でも、直接、人に話しかけた。

黒い床の展示窓の白い台に置かれた、大きな黄色の指ぬきと、丸く当たる光
イメージ画像(AI生成):ショーウィンドウのイメージ(実在の場所ではありません)

後継者が、見ているもの

2024年に、クリエイティブ・ディレクターになった、アドリアン・アッピオラーザは、就任の時の、声明で、フランコ・モスキーノの歴史に残る創作として、「3Dのポストカードを付けた上着、20枚のブラジャーで作ったスカートのドレス、数え切れないだまし絵」を挙げた(Fashion Dive)。2026年に就いた、メッシーナとリッツォは、MOSCHINO を、ポップカルチャーを、美学の言葉としてだけでなく、批評の道具として使う、文化的なメゾンと表現した(W Magazine)。

見方

モスキーノの冗談は、服の外側の、飾りではなく、仕立てと、言葉と、場所の選び方まで、含んでいた。笑わせるために、形を崩さず、よく仕立てた服の上に、意味のずれを、置いた。そこが、のちの時代の人が、今も、立ち返る、出発点になっている。

要点

POINTS
  • ナイフとフォークで飾ったスーツ、サイコロのボタン、テディベアの帽子、安全ピンのボディスなど、日用品を、服の部品にした(Britannica、ArtLark)。
  • シャネルのスーツを、「This is a Waist of Money」と刺繍したベルトで、からかった(ArtLark が引く報道)。
  • Wikipedia は、モスキーノが、基本的な形と、伝統的な手法を使い、服の言葉で、ハイファッションを、からかったと書く。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:ArtLark「Franco Moschino: Anti-Elitist Haute Couture?」(2022年9月18日、Britannica などの記述を引用) https://artlark.org/2022/09/18/moschinos-anti-elitist-haute-couture/ Fashion Dive「Moschino appoints Adrian Appiolaza to creative director role」(2024年1月30日) https://www.fashiondive.com/news/moschino-names-adrian-appiolaza-creative-director/706018/ Wikipedia「Franco Moschino」(出典の不足が指摘されているため、補助として使用) https://en.wikipedia.org/wiki/Franco_Moschino Numéro「Moschino」(2025年7月25日) https://numero.com/portrait/moschino/ Il Post「Moschino dopo Moschino」(2015年7月5日) https://www.ilpost.it/2015/07/05/moschino-dopo-moschino/ (確認日:2026年10月24日。言葉遊びの訳は、編集部)

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