なぜ「スタンダード」なのか
A.P.C. の最初のジーンズが、スタンダードと呼ばれたのは、基準になるジーンズを作る、という志があったからだ。手に入れて、はき込み、同じ形で、また買い直す。そのためのジーンズである。公式サイトは、スタンダードは「ふつう」ではなく、全てを測る物差しだ、と説明している。
ウエストバンドは、本来、バイアスに裁つところを、経験のなさから、地の目で裁った。誰も気づかず、そのままになり、ブランドの特徴になった。
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生地の重さ
ニュー・スタンダードの生地は、1平方ヤードあたり14.5オンス、メートル法では、約411g/㎡。サイズ30のジーンズは、ハンガーにかけて、約850gになる。朝、穿くときに、重さを感じ、3週間はき込むと、自分で立つほどになる、とブランドは述べている。
軽すぎず、重すぎない重さは、「毎日穿いて、味が出る」ことを狙った、意図的な選択だという。Heddels は、ニュー・スタンダードを、スリムストレートで、中厚の、赤い耳のデニムでつくられたものと紹介している。

二色のステッチ
縫い目は、二本の糸を使う。インディゴに溶け込む青と、ブランドの署名になった、キャラメル色である。最初は、コントラストが、ほとんど見えない。デニムが色落ちするにつれて、前に出てくる。二列のステッチは、負担のかかる部分を補強し、生デニムが、慣らしの間、形を保つことも助ける。
革のパッチがない
ウエストの後ろに、革のパッチはない。リーバイスの革のパッチは、1886年に登場し、二頭の馬が、ズボンを引き裂こうとする絵が描かれている。丈夫さの証明であり、英語を読めない客にも、本物と分かる目印だった。A.P.C. は、百年後の、別の時代に、別の考えで来た。パッチは、材料を足すので、割れ、黄ばみ、やがて取れる。自分で署名できるものに、署名を足す必要はない、というのが、ブランドの答えである。
ボタンの小さなシンボル
A.P.C. のジーンズで、目に見える、ほぼ唯一のしるしが、ボタンに刻まれた、ギターのネックと短剣の交差である。近くで、よく見ないと、分からない。ギターは、ジャン・トゥイトゥの、1964年のグレッチ・テネシアン。
短剣は、祖母(愛称ニネット)が、ペーパーナイフとして使っていたものである。1988年から、最初のボタンに、「Rue Madame près du Luxembourg」という文字とともに、このシンボルが刻まれている。

選ぶときの見方
- 生地の重さ:14.5オンスは、慣らしに時間がかかるが、味が出るまでの道のりを、楽しむ人向け
- 色の変化:ステッチの青とキャラメルが、色落ちとともに、浮かび上がる
- しるし:ロゴの代わりに、ボタンのシンボルを、探してみる
生地と色落ちのことは、「生デニムと、インディゴの経年変化」の記事で読める。


