窓辺のレールに掛かる、アイボリー、オリーブ、黒、インディゴの手編みのニット5着と、毛糸のかご
SINCE 1999

sacai、5着の手編みから始まった、東京のブランドの歩み

1999年、阿部千登勢が東京で始めた sacai は、対照的な素材を繋ぐ「ハイブリッド」の考え方で、パリや世界の店へ広がった。創業から、今までをたどる。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.19 | 更新 2026.10.23 | 読了 4分 イメージ画像(AI生成):手編みの5着から始まったころのイメージ(実在の商品ではありません)
手編みの5着から始まった。
素材と素材を繋ぐ考え方が、ブランドになった。

1999 東京で、始まる

阿部千登勢と、sacai

sacai は、1999年に、阿部千登勢が、東京で創業したブランドである。公式サイトの About は、そう書いている。W Magazine(2025年)も、1999年としている。一方、Hypebeast(2017年)は、1998年の創業と書いており、年は資料によって分かれる。

手編みの5着

Interview Magazine(2015年)によれば、阿部は、1997年に、ファッションの仕事を離れて、娘を育てていた。その間に、「やはり、物を作る仕事に戻りたい」と考え、編み針と毛糸を買って、5着を手で編んだ。「5つのシルエットだけで、ブランドを作るという考えは、その頃、ユニークに思えた」と、本人は語っている。ブランドの名前は、旧姓の Sakai を変えたものだと、同じ記事は伝えている。

ハイブリッドという考え方

公式の About は、sacai の考え方を、「ハイブリダイゼーション(掛け合わせ)」と説明している。ニットと、非常に薄い織物のような、対照的な質感の素材を並べ、服のパターンを読み替える技法で、思いがけない形とシルエットにする。ウィメンズの服は女性らしく見えるが、阿部が目指しているのは、唯一無二で、時代に左右されず、革新的で実験的な服だという。詳しくは、別の記事で読める。

メンズ、パリ、旗艦店

2009 メンズとパリ

メンズのコレクションは、2009年春に始まった。ウィメンズと同じ哲学と、似た方法で作る、上品さを少し足した、丁寧な定番の服だと、公式サイトは書いている。ウィメンズは、2009年10月から、パリのファッションウィークで見せていて、今は、メンズとウィメンズの両方を、パリで見せている。

ヘリンボーンの床と椅子が並ぶ、パリのショー会場
イメージ画像(AI生成):パリのショー会場のイメージ(実在の会場ではありません)

2011 南青山の旗艦店

最初の旗艦店は、2011年9月に、東京の南青山に開いた。建築家は、藤本壮介。自然と人工物、内と外、新しい物と古い物といった、反対の要素を繋ぐ仕事を、阿部は、自分と重なると感じたという。全ての店の内装は、コラージュや DIY のアーティスト集団 GELCHOP が手がけている。古い家具の木、鉄、アクリル、鏡など、一見ばらばらの素材を、繋ぎ合わせた家具が、大胆で新しい形になっている。

古い木、鉄、アクリル、鏡を組み合わせた家具のある、コンクリートの店内
イメージ画像(AI生成):旗艦店の内装のイメージ(実在の店舗ではありません)

店と催しも、表現に

Hello sacai

「Hello sacai」は、2018年にパリで始まった企画で、2020年には、北京、上海、香港でも開かれた。2022年12月10日からは、東京の表参道で、アップサイクルをテーマにして開かれた。青山の店の服を GELCHOP が作り直し、原宿の古着店 BerBerJin と組んで、古着を新しいデザインにしている。

今

公式の About は、sacai の旗艦店が、東京、香港、北京、ソウルにあり、世界の専門店や百貨店でも買える、と説明している。2025年には、定番の服をまとめた「sacai THE classics」が、新しい品を足して発売された。協業のことは、別の記事で読める。

自分の手で、動かす

Interview Magazine(2015年)は、阿部が、ブランドの唯一の所有者で、投資の申し出を、ずっと断ってきたと伝えている。本人は、「創作も、事業も、全て自分の管理のもとにあったから、今のブランドになったと思う」と話している。

W Magazine(2025年10月)も、阿部を唯一の所有者と書き、従業員は160人、35か国以上で販売していると伝えている。「ブランドの所有を保つことは、本物らしさの一部だと考える傾向がある」と、本人は答えている。

手に取るなら

入り口は、ニットと織物のような、素材の組み合わせが分かりやすい一着か、定番の「THE classics」が良い。人物のこと、ハイブリッドの考え方のことは、別の記事で読める。

要点

POINTS
  • 1999年、阿部千登勢が東京で創業した。始まりは、手編みの5着だったと伝えられている。
  • 2009年春にメンズを始め、2009年10月から、パリのファッションウィークでウィメンズを見せている。2011年9月に、南青山に最初の旗艦店を開いた。
  • 2018年にパリで始まった「Hello sacai」など、店や催しも、ブランドの表現の一部になっている。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:sacai 公式サイト「About」 https://www.sacai.jp/en/pages/about sacai 公式サイト「Hello sacai」(2022年11月29日) https://www.sacai.jp/en/blogs/news/hello-sacai sacai 公式サイト「sacai THE classics」(2025年5月14日) https://www.sacai.jp/en/blogs/news/sacai-the-classics Interview Magazine「Chitose Abe」(2015年3月2日) https://interviewmagazine.com/fashion/chitose-abe W Magazine「At Sacai, Chitose Abe Doesn’t Chase the Hype—It Finds Her Anyway」(2025年10月24日) https://www.wmagazine.com/fashion/chitose-abe-sacai-interview-2025 Hypebeast「HB100 2017:Chitose Abe」 https://hypebeast.com/hb100/2017/chitoseabe Wikipedia「Chitose Abe」(補助的に使用) https://en.wikipedia.org/wiki/Chitose_Abe (公式サイトの確認日:2026年10月19日)

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