東京の静かな通りの、ガラス張りの小さな店と、無地の服を着たマネキン
THE GROUP

The North Face、Helly Hansen、nanamica──商標権で広がる、Goldwin というグループ

Goldwin は、自社のブランドだけでなく、The North Face や Helly Hansen の日本での商標権を持つ会社でもある。商標権のビジネス、nanamica と Purple Label、黒を取り入れた経緯を、Monocle のインタビューと有価証券報告書から読む。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.23 | 読了 4分 イメージ画像(AI生成):店のイメージ(実在の店ではありません)
ブランドを持つのではなく、日本での権利を持つ。
その形が、アウトドアを街の服に変えた。

ブランドを持つ会社

Monocle によれば、Goldwin は、The North Face、Helly Hansen、Ellesse、Danskin の、日本での商標権の契約を持っている。この契約によって、日本の市場にだけ向けた、独自の商品を、自由に作って売れる。

2022年の時点で、グループには165の店と、6つのオリジナルのブランドがあり、年間の売上は、約1000億円に迫る。オリジナルのブランドには、Goldwin、Neutralworks、nanamica が含まれる。

権利を、少しずつ

契約の年表

Monocle の年表によれば、1970年に Fusalp、1976年に Ellesse、1983年に Danskin と Helly Hansen のライセンス契約を結んだ。The North Face は、1978年に、日本での販売を始め、1994年に、日本での商標権を取得した。

Helly Hansen の日本での商標権は、2017年に取得している。有価証券報告書の沿革には、2001年に、カンタベリーオブニュージーランドジャパンの株式を取得し、2022年4月に、吸収合併したことも書かれている。

nanamica と、Purple Label

自分たちで作って、売る

Takao Watanabe は、Monocle に、2005年に、nanamica が始まったと語っている。Helly Hansen の部署にいた、Eiichiro Homma が作ったレーベルで、手元の商標権を使って、The North Face Purple Label を作ることにした。

日本で、スポーツとアウトドアの服を、自分たちでデザインして、複数のブランドを扱う店に売る、新しいビジネスの形の始まりで、ファッションの市場に出る、きっかけになった。有価証券報告書の沿革には、2003年3月に、株式会社ナナミカを設立したと書かれている。

黒を採り入れた人

街で着られる色へ

Watanabe は、かつて、登山の世界では、黄色、赤、ロイヤルブルーなど、目立つ色が主流だったと語る。街の暮らしにも使えて、年に3シーズン以上着られる服にしたくて、1990年代の初めに、黒、グレー、ネイビー、カーキを採り入れた。

落ち着いた色の糸巻きと、扇状に広げた生地の見本
イメージ画像(AI生成):色と素材のイメージ(実在の商品ではありません)

当時、アウトドアの市場で、黒を使う人は、いなかった。主な販路のアウトドア専門店は、新しい色を好まなかったが、自社の店と百貨店では、よく売れた。2022年の時点で、The North Face のコレクションの60%が、黒だという。

コアと、モア

Monocle によれば、Goldwin には、「コア・アンド・モア」という方針がある。「コア」は、スポーツと探検の、最高の性能の装備で、The North Face の Summit Series が例になる。

売上の数パーセントにすぎないが、他の商品の研究開発を支えている。「モア」は、日常に広がる、ライフスタイルのライン。直営の The North Face の店では、売上の60%が、ライフスタイルのライン、30%が、パフォーマンスのラインだという。

日本で作る、という考え

Watanabe は、自社を、まず製造業だと位置づけている。富山に、研究所と、マザー工場を持ち、試作と、効率の良い工程を作ってから、協力工場に、大きな量を任せる。糸や染料も、取引先と、共同で作るという。

黒、灰、紺、カーキの服が畳んで並ぶ、倉庫の鉄の棚
イメージ画像(AI生成):倉庫のイメージ(実在の場所ではありません)

ロンドンやニューヨークの店に、The North Face と Purple Label を卸したことがあったが、あまり売れなかった、とも語っている。日本では、服だけでなく、着こなしの提案と、接客を売る、と話している。

サステナビリティ

Monocle によれば、2030年までに、繊維のごみをゼロにし、環境に優しい素材の割合を、28%から90%に引き上げることを、目標にしている。

見方

Goldwin は、ブランドを買う会社でも、真似をする会社でもなく、日本の市場に合わせて、作り直せる権利を持つ会社だった。その形が、nanamica、Purple Label、そして Goldwin 自身のライフスタイルラインへ、広がっている。

要点

POINTS
  • 1978年に、The North Face の日本での販売を始め、1994年に、日本での商標権を取得した(Monocle)。
  • 2005年に、nanamica が始まり、商標権を元にした The North Face Purple Label が生まれた。日本で、商品を自分たちで作り、複数のブランドを扱う店に売る、新しい形の始まりだった(Monocle)。
  • 社長の Takao Watanabe によれば、1990年代の初めに、アウトドア市場で、誰も使わなかった黒を採り入れた。今では、The North Face の商品の60%が黒だという(Monocle)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:Monocle「Call to action」(2022年5月号) https://monocle.com/fashion/goldwin-japan-technical-fashion-innovation/ EDINET DB「株式会社ゴールドウインの沿革」(有価証券報告書の沿革の欄を整理した資料) https://edinetdb.jp/company/E00603/history nss magazine「Goldwin: made to win」(2021年4月22日) https://www.nssmag.com/en/fashion/25817/goldwin-ss21-gorpcore (確認日:2026年10月23日。数字は、Monocle の記事が書かれた、2022年時点の物)

CONTINUE READING