北アイルランドから、ロンドンへ
2008 アクセサリーから始まる
JW ANDERSONは、2008年、北アイルランド出身のデザイナー、ジョナサン・アンダーソンが、ロンドンで立ち上げたブランドである。最初に注目を集めたのは、凝ったアクセサリーのコレクションだった。それが、同じ2008年の、ロンドン・ファッション・ウィークへの参加に繋がった。
立ち上げの頃は、メンズが中心だった。メンズとウィメンズの要素を、意識的に交差させて、考えさせるシルエットを作る。その独特の視点が、熱心なファンを生み、2010年に、ウィメンズのカプセルコレクションを発表するきっかけになった。
ブランドを始める前
ジョナサン・アンダーソンは、2005年に、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業した。ブランドを始める前は、プラダで、ビジュアル・マーチャンダイザーとして働いていたとされる。人物については、別の記事で、詳しく読む。
広がる仕事
2012 トップショップとの協業
ブランドがイギリスで広く知られるようになったのは、2012年、ハイストリートのトップショップと協業して、限定のコレクションを出したときだった。2013年にも、再び協業している。同じ2012年には、英国ファッション・アワードの「新進気鋭賞(レディ・トゥ・ウェア)」を受賞した。
当時の記事は、アンダーソンを、男性用と女性用の、両方のニットで知られ、既に熱心なファンのいるデザイナーと紹介している。協業のコレクションには、ジャージー、デニム、ニット、アウターが並び、アンダーソンが選んだ、鉛筆やルービックキューブ、写真集も、同じ売り場に置かれた。
2013 ヴェルサスとの仕事
2013年5月、ヴェルサーチの若者向けライン「ヴェルサス」の、再出発のコレクションを、ジョナサン・アンダーソンが手がけた。ニューヨークで発表され、ボーイズにもガールズにも向けた、切り込みのあるデザインや、ヴェルサスの象徴である安全ピンが、取り入れられた。
2013 LVMHとの提携
2013年9月、LVMHが、JW ANDERSONの株式の少数を取得した。この取引の一環として、ジョナサン・アンダーソンは、スペインの老舗、ロエベのクリエイティブ・ディレクターにも就くことになった。LOEWE の公式の沿革は、就任を2014年と書いている。取引の条件は、公表されなかった。

賞と、初めての展覧会
2014年には、英国ファッション・アワードの、メンズウェア・デザイナー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。2015年には、メンズとウィメンズの両方の「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」を、同じ年に受賞した。ブランドとして、初めてのことだった。
2016年には、ロンドンのショーディッチに、展示と店を合わせた「ワークショップ」を開いた。2017年には、イングランド北部のヘップワース・ウェイクフィールドで、初めての展覧会「Disobedient Bodies(従わない身体)」を開いている。40人を超える芸術家やデザイナーの、100点を超える作品が並んだ。
2020年代
2020 レインボー・カーディガン
2020年、2020年春夏のメンズ・コレクションのカーディガンを、歌手のハリー・スタイルズが着たことが、TikTokで、編み物の流行を生んだ。ジョナサン・アンダーソンは、その柄の編み方を公開し、同じ年に、ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)が、このカーディガンを収蔵した。この年、ブランドは、ロンドンのソーホーに、旗艦店も開いている。

2022 鳥の形のクラッチ
2022年秋冬のメンズ・コレクションで、ハトの形のクラッチバッグが発表された。3Dプリントでつくられ、右の翼を開けると、内側に収納がある。ランウェイでの登場のあと、広く話題になり、のちに販売された。その後も、2023年秋冬のコレクションのカエルをはじめ、動物の形のクラッチが続いている。鞄もこのブランドの顔の一つだが、中心にあるのは、服である。
2023〜2024 賞が続く
2023年、ジョナサン・アンダーソンは、アメリカファッションデザイナー協議会(CFDA)の「インターナショナル・デザイナー・オブ・ザ・イヤー」と、英国ファッション・アワードの「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。2024年には、タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に入り、英国ファッション・アワードでも、2年続けて「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」になっている。
2025 ディオールへ
2014年から続いたロエベでの仕事を終え、2025年、ジョナサン・アンダーソンは、クリスチャン ディオールの、ウィメンズ、メンズ、オートクチュールの、クリエイティブ・ディレクターに任命された。ロエベとディオールのことは、別の記事で読む。
今、身に着けるなら
公式サイトの服の欄には、ニット、コート、デニム、シャツ、フーディーなどが並ぶ。なかでも、色と編み目の楽しさは、このブランドらしさが一番出るところだと思う。ふざけているようで、本気という性格は、一枚のニットを手に取ると、よく分かる。入り口には、まずカーディガンの記事をすすめたい。鞄やアクセサリーも、服の延長にある小物として、見ていくと楽しい。


