ハトの形のクラッチ
2022 秋冬のメンズ・コレクション
ピジョン・クラッチは、JW ANDERSONの2022年秋冬のメンズ・コレクションで、発表されたバッグだ。3Dプリントでつくられていて、片方の翼が、そのまま、横の開口部になっている。右の翼を開けると、内側に収納がある。名前のとおり、ハトの形をした、小さなクラッチバッグである。

ハトは、都市では、どこにでもいる鳥だ。それを、ブランドの、新しい「イットバッグ」にしてしまう。意外な発想だった。
ファッション誌の10 Magazineは、ハトを、翼のあるネズミにたとえ、そのハトを、ブランドの新しい「イットバッグ」にしてしまったと、書いた。大げさな言い方だが、都市で、一番見慣れた鳥を、鞄にするという意外性を、よく言い当てている。販売ページのなかには、素材を樹脂と記す物もある。
話題になった理由
このクラッチは、ランウェイでの登場のあと、広く話題になった。Hunger は、TikTok で広まり、ドラマ『And Just Like That』の撮影現場で、キャリー・ブラッドショーが、このバッグを持つ姿が目撃され、のちに、ドラマの中でも、翼のポケットから、ガムを取り出す場面があった、と伝えている。Highsnobiety は、人気のスタイルアイコンたちが、これを持つ姿も、話題を広げたと書いている。
賛否は、分かれたと、Hunger は書いている。分かれること自体が、このバッグの性格を、よく表している。
動物のバッグは、続く
カエル、カナリア
その後も、JW ANDERSONは、動物の形のクラッチを、増やしてきた。2023年秋冬のメンズ・コレクション(ミラノ)では、カエルのクラッチが登場し、のちに販売された。Highsnobiety は、これを、2023年秋冬の「ハトのクラッチ」にあたるものと呼んでいる。
口を開けて、小物を入れ、ハトでは、右の翼の下だった収納が、カエルでは、大きな口になった。Hunger によると、口の内側は赤く塗られ、舌の先の磁石で閉じる。更に、カナリアの形のクラッチも、アンダーソンが、インスタグラムで予告した。
ハトとカエルは、3Dプリントの技術を使い、本物そっくりの質感を、めざしている。Hunger は、カエルを、ハトより、更に、本物らしく見えると評している。ガーデンセンターの、ほこりをかぶった棚にある、ありふれた置物のような、不思議な魅力を、鞄にしている。
鳥や動物のバッグは、ブランドの、定番の「遊び」になりつつある。

鞄としての見方
実用の面では、小さなクラッチなので、入る物は限られる。毎日の鞄というより、「一つ、遊びを持ち込む」ための、小さな鞄と考えるのが良いと思う。
なぜ、効いたのか
編集部は、三つの理由があると考える。一つは、「ハト」という、好かれない題材の意外性。二つめは、本物そっくりに仕上げる、3Dプリントの技術の高さ。三つめは、ドラマとSNSという、見る人の多い場所で、目撃されたことだ。ふざけているようで、技術は、真剣である。そのずれが、強い印象を残したのだと思う。
- 持つ場面:食事や、パーティーなど、少しだけ、目を引きたいとき
- 合わせ方:服は、できるだけ、すっきりさせると、鞄の存在感が、引き立つ
- 選ぶ前に:実物の大きさと、開口部のつくりを、店頭で、確かめたい


