黒いレコードのスリーブと、畳んだ黒、グレーのシャツが並ぶ暗い机
THE DESIGNER

マシュー・M・ウィリアムズという人──DJと衣装づくりから、パリとミラノへ

学校でデザインを学ばず、DJ、衣装、ミュージシャンの仕事を通じて、服づくりに進んだマシュー・M・ウィリアムズ。1017 ALYX 9SM の創業者の経歴と、服づくりの考え方を、インタビューと報道から読む。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.23 | 読了 3分 イメージ画像(AI生成):音楽と服のイメージ(実在の商品ではありません)
独学で、現場から入った。
服の外の経験が、金属の金具と、黒い服に表れる。

独学の人

Cultured によれば、シカゴ生まれのマシュー・M・ウィリアムズは、独学のデザイナーである。Luxury Tribune は、カリフォルニアで育ち、ストリートウェア、サーフィン、ラップが、発想の源だったと書いている。学校と見習いを通る、伝統的な道ではなく、様々な文化の経験を、自分の目で読み替えて、服にする世代の一人だ、と Cultured は紹介している。

音楽と衣装から

DJ、生産管理

Cultured によれば、出発点は、音楽だった。ロサンゼルスの大学にいる頃に、DJをしながら、ファッションの生産管理の仕事もしていた。夜のクラブで、音楽業界の人たちと出会った、という。

2008年のジャケット

2008年に、カニエ・ウェストのスタイリストから、ウェストが Daft Punk と出るグラミー賞の舞台のために、ジャケットを作るよう頼まれた。ジャケットには、LEDが埋め込まれ、舞台で光った。

ウィリアムズは、当時21歳で、のちに、ウェストの映像のアートディレクションや、ウェストの最初のブランド「Pastelle」のスタジオづくりも担った、と Cultured は伝えている。Lady Gaga のもとで、3年働き、写真家のニック・ナイトとも出会った、とも書かれている。

Been Trill

Cultured は、ウィリアムズが、ヴァージル・アブロー、ヘロン・プレストンとともに、ウェストのイメージを作る、クリエイティブのチームだったと書いている。FashionNetwork によれば、ウィリアムズは、Lady Gaga とカニエ・ウェストのクリエイティブ・ディレクターを務め、スタジオ「Donda」を率い、アブローらと、アーティストとDJの集まり「Been Trill」を作った。

服づくりの考え方

製品が先

Cultured のインタビューで、ウィリアムズは、服は、いつも「今」のためのもので、毎シーズン、テーマを決めて始めるのではなく、服そのものの要素に、集中すると話している。生地と、縫い方の話が好きで、技術の進歩と、手で物を作る価値を結びつけることを、「現代の手仕事」と呼ぶ。生産管理から始めたので、服づくりの、体を使う面に、最初に惹かれた、という。

服のスケッチ、生地の見本、はさみが並ぶ灰色の作業台
イメージ画像(AI生成):服づくりの作業場のイメージ(実在の商品ではありません)

二つの面を持つ服

ウィリアムズは、小さな会社なので、イブニングウェアのような、特定の用途の服は作れない、と話している。そのため、5ポケットのジーンズを、スーツにもなる、仕立ての生地で作るような、二つの面を持つ服を目指す。黒い服が多いことも、着る人が、意味を決められるように、という文脈で、Cultured は説明している。

より少なく、より良く

品質は、長く使えることに繋がり、それが、持続可能性だと、ウィリアムズは考えている。買う量を減らす「より少なく、より良く」を支持する、と Cultured は伝えている。

イタリアでの暮らし

Interview によれば、2019年当時、ウィリアムズは、妻で、創作のパートナーのジェニファーと、北イタリアの中世の町フェラーラに住み、染めや、ナイロンと革の接着などの技術を、イタリアの工場と、近い距離で、追いかけていた。「DHL を通さずに、服を作れる」と、本人は話している。

黒い手すりの付いた、コンクリートの細い階段
イメージ画像(AI生成):建物のイメージ(実在の商品ではありません)

人物から見る

音楽、衣装、生産管理。服の外から入った経験が、金属の金具や、黒い服、二つの面を持つ服に表れている。ブランドの歴史は、別の記事で読める。

要点

POINTS
  • シカゴ生まれで、カリフォルニアで育ち、デザインの学校ではなく、DJと、ファッションの生産管理の仕事から、服づくりに入った(Cultured)。
  • 2008年に、カニエ・ウェストのグラミー賞の舞台のために、LEDの付いたジャケットを作ったことが、転機になった(Cultured)。
  • 「服は、いつも、今のためのもの」「製品が先」と語り、「現代の手仕事」を掲げる(Cultured)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:Cultured「Less Is More: Matthew Williams of 1017 ALYX 9SM on the Idea of Modern Craftsmanship」(2020年4月20日) https://culturedmag.com/article/2020/04/20/matthew-williams-1017-alyx-9sm/ Interview「ALYX Designer Matthew Williams Pairs Luxury Leather with Six Flags」(2019年6月24日) https://interviewmagazine.com/fashion/alyx-designer-matthew-williams-pairs-luxury-leather-with-six-flags FashionNetwork「Matthew Williams attracts A-list front row with first 1017 Alyx 9SM show」(2018年6月25日) https://ae.fashionnetwork.com/news/Matthew-Williams-attracts-A-list-front-row-with-first-1017-Alyx-9SM-show,991082.html Luxury Tribune「Audemars Piguet to announce new collaboration with American designer Matthew Williams」(2023年8月24日) https://www.luxurytribune.com/en/audemars-piguet-to-announce-new-collaboration-with-american-designer-matthew-williams (確認日:2026年10月22日。ブランドの公式サイトは、開けず、確認できていない)

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