パリのロフトの床に敷いた白い綿の布に、赤い絵の具の線とにじみがあり、横に絵の具のトレイと刷毛が置かれた様子
TABI

素足に見える靴──Maison Margiela のタビを読む

日本の足袋に着想を得た、つま先の割れた靴。赤い絵の具の足跡から始まったとされる、Maison Margiela のタビを、複数の資料で確かめた事実で読む。登場の年が、資料で分かれる点も、そのまま書く。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.11.03 イメージ画像(AI生成):白い布と赤い絵の具のイメージ(実在の場所ではありません)
つま先が、2つに割れている。
Maison Margiela のタビは、見た目だけで、そのブランドの靴だと分かる。

足袋から

タビという名前は、日本の足袋から来ている。AnOther は、タビを、親指を分ける、日本の伝統的な足袋の、マルジェラによる解釈と書く。i-D と Wikipedia も、同じ由来を挙げる。足袋は、親指とほかの指を分けて、包む形である。それを、ヒールのある靴に置き換えたのが、タビである。

赤い足跡

AnOther と i-D は、最初のショーで、モデルが、赤い絵の具に足を浸して歩いたと伝える。Even は、白い綿布の上に、足跡が残ったと書く。AnOther によれば、マルジェラは、新しい靴を、観客に気づいてもらうには、足跡がいちばん分かりやすいと考えた。割れたつま先の足跡が、そのまま、新しい靴の形を示した。

AnOther と i-D は、絵の具で汚れた布が、のちに、ベストに作り替えられ、次のショーの冒頭を飾ったとも伝える。

登場の年は、資料で分かれる

最初のタビが、いつ登場したかは、資料で分かれる。Wikipedia は、「1989年に最初に見せられ、1992年に登場した」と書く。AnOther の写真は、1989年春夏(S/S89)のショーとして載り、本文は、「最初のショー」で履かれたと書く。一方、AnOther が引くマルジェラの言葉には、1990年春夏のコレクションでも、同じ靴が使われたという趣旨の発言があり、MoMu の映像も、1990年春夏として紹介される。i-D は、デビューのコレクションを1988年とする。

このため、この記事では、「最初のショーから登場した」と書くにとどめる。いちばん多くの資料が挙げるのは、1989年である。

形

AnOther によれば、マルジェラは、タビを、英国の1900年代の、男性的な靴の形を、女性の足型に載せたものと説明した。ヒールは、横から見ると太く、後ろから見ると細い。革の選び方、組み立て、仕上げは、男性用の伝統的な靴と同じだったという。Sotheby’s は、割れたつま先が、太いヒールの上に、素足が乗っているような印象を作ると書く。

木の作業台に並べられた、茶色と黒の革の切れ端、白い糸巻き、革用の針、小さな金づち、錐、木のブロック
イメージ画像(AI生成):革細工の作業台のイメージ(実在の商品ではありません)

AnOther は、マルジェラが、「見えない靴」、つまり、素足が高い太いヒールの上を歩いているような錯覚を、作りたかったと語ったと伝える。同じ記事は、新しい型を作る予算がなく、そのまま、タビを続けるしかなかった、とも伝える。

かかとの白いステッチ

メゾンの公式サイトによれば、すべての商品は、番号の付いたラインに属する。靴は、ライン22で、それぞれのかかと部分の、1本の白いステッチで見分けられる。ラインの番号と、白いステッチについては、「白いラベルと4つの針目、タビ、番号──Maison Margiela を見分ける印」の記事で、読める。

見るときの見方

まず、つま先の割れ方と、ヒールの形を見る。次に、かかとの、1本の白いステッチを探す。公式サイトの、タビの商品のページは、この記事を書いた時点では、読めなかった。素材、ヒールの高さ、色は、取扱店と、公式のページの表記で、購入の前に確かめてほしい。

要点

POINTS
  • タビは、日本の足袋に着想を得た、つま先の割れた靴。最初のショーから登場したとされ、モデルが赤い絵の具に足を浸して、白い布の上に足跡を残した(AnOther、i-D、Even)。
  • 登場の年は、資料で分かれる。1989年とするものが多いが、1988年、1990年、1992年とする資料もある(i-D、MoMu、Wikipedia)。
  • マルジェラ自身は、素足が太いヒールの上に乗っているような、「見えない靴」を作りたかったと語ったと、AnOther は伝える。ライン22の靴は、かかとの白い1本のステッチで見分けられる(メゾン公式)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:AnOther「The Tale of Margiela's Tabi Boot」(2015年9月1日) http://www.anothermag.com/fashion-beauty/7721/the-tale-of-margielas-tabi-boot i-D「The Weird and Wonderful History of Split-Toe Shoes」(2015年11月17日) https://i-d.co/article/the-weird-and-wonderful-history-of-split-toe-shoes/ Wikipedia「Maison Margiela」「Tabi」 Even Magazine「The Four White Stitches」 https://evenmagazine.com/?p=3674 Flaunt「Margiela/Galliera 1989-2009」 https://www.flaunt.com/blog/marigela-galliera Sotheby's「The Raw Innovation of Martin Margiela」 https://www.sothebys.com/en/articles/the-raw-innovation-of-martin-margiela Maison Margiela 公式「ナンバリングコード」(ライン22の説明) https://www.maisonmargiela.com/ja-jp/mm-brand-code.html (確認日:2026年11月2日。公式サイトのタビのページは、読めなかったため、素材、ヒールの高さ、色は書いていない。マルジェラが日本を訪れて足袋を見たという話と、最初に作った工房は、資料で確かめられなかったため、書かない)

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