白いペンキが剥がれ、下の灰色の層が見える漆喰の壁
CODES

白いラベルと4つの針目、タビ、番号──Maison Margiela を見分ける印

白い無地のラベル、4つの白い針目、0から23の番号、足袋に着想を得たタビ、顔を覆うマスク。Maison Margiela の「印」を、複数の資料で確かめた事実に絞って整理する。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.27 | 更新 2026.11.03 イメージ画像(AI生成):白い壁の質感のイメージ(実在の場所ではありません)
ロゴの代わりに、あるのは、4つの針目。
見えないことが、そのまま、ブランドの印になった。

白いラベルと、4つの針目

NGV によれば、マルジェラは、飾りのない白い綿のテープと、番号の入ったラベルを、服の外側に見える、4つの白い手縫いの針目で留めた。無記名への関心から生まれた、この印は、今では、マルジェラの服の象徴になっている。

Even は、共同創業者のジェニー・メイレンスが、2017年の New York Times の取材で、デザイナーの名前を前面に出す服を嫌い、全ての服に、無地の白いラベルを縫い付けたと語ったと伝える。裏地のない服では、4つの針目が、外から見える。

0から23の番号

メゾンの公式サイトによれば、ナンバリングコードは、1997年に導入された、メゾンのラインを示す索引である。全ての商品は、13あるラインのどれかに属し、タグの数字を丸で囲んで、その所属を示す。0から23の数字が並ぶとする資料(Wikipedia、nss magazine)もあるが、実際に使われているラインは、13である。

公式サイトの説明を、主なものだけ挙げる。ライン0はアルチザナル、ライン1は女性のためのコレクション、ライン3はフレグランス、ライン6はエムエム6、ライン10は男性のためのコレクション、ライン11はアクセサリー、ライン14は男性のためのワードローブ、ライン22は靴である。エムエム6は、服の外側に見える、1本の白いステッチで、識別される。ライン22の靴は、それぞれのかかと部分の、1本の白いステッチで、識別できる。

再構成する、アルチザナル

公式サイトによれば、ライン0のアルチザナルは、メゾンのチームが手仕事で作り上げる、オートクチュールのコレクションである。見過ごされてきた物、捨てられた物、日常にある物を、素材として捉える。起源は、見つけた服を解体し、過去の痕跡を残したまま、新たな形に再構築する、創設時からの理念にある。公式サイトは、誕生を1989年とし、2012年から、パリ・オートクチュール・ウィークで発表していると書く。NGV は、1988年に、アルチザナルを確立したと書いており、年は資料で分かれる。

白い机に畳んだ、端が解れた生成りの綿の布
イメージ画像(AI生成):生成りの綿のイメージ(実在の商品ではありません)

NGV の解説は、1997年春夏の、古いドレスの裏地で作られたドレスを挙げ、裏地や縫い目、ダーツ、紙の型紙を、飾りとして見せる手法が、マルジェラの、最も影響力のある手法の一つと書く。

タビ

Flaunt、Even、The Fashion Commentator は、足袋に着想を得た、つま先の割れたタビが、最初のショー(1989年春夏)から、登場したと伝える。Even によれば、モデルは、赤い絵の具に足を浸し、白い綿布の上に、足跡を残した。

Sotheby’s は、タビを、マルジェラの、最も息の長いデザインの一つと書く。割れたつま先が、太いヒールの上に、素足が乗っているような印象を作る。Sotheby’s によれば、メンズのタビが正式に出たのは、2018年である。

顔を覆う

Flaunt によれば、最初のショーで、モデルの一部は、シフォンやナイロンのベールで、顔を覆っていた。nss magazine は、その後も、マスクの形が、シーズンごとに変わったと書く。1993年春夏は、薄い綿のベール、2009年春夏は、ウィッグと赤い唇の組み合わせだった。この手法は、後任たちにも、受け継がれている。

ショーの場所

The Fashion Commentator によれば、1992年春夏のショーは、1939年から使われていなかった、サン=マルタンの地下鉄駅で、1600本の蝋燭の灯りのもと、開かれた。Even は、廃劇場や、救世軍の施設などでも、ショーを行ったと書く。席次表を置かず、客席を作らないこともあった。

白い漆喰の壁と白いドア、窓の光が落ちる剥がれかけた白い木の床
イメージ画像(AI生成):白い部屋のイメージ(実在の場所ではありません)

見方

これらの印は、どれも、何かを足すのではなく、隠す物を見せる、という点で、通じている。白いラベルも、割れたつま先も、裏返した裏地も、同じ考え方から生まれている。

要点

POINTS
  • 服には、無地の白いラベルが付き、4つの白い針目で留められる。ラベルには、数字が並び、そのラインの数字に丸が付く。この番号は、1997年に導入され、公式サイトによれば、ラインは13ある(メゾン公式、NGV、Even)。
  • タビは、足袋に着想を得た、つま先の割れた靴で、最初のコレクションから登場した(Flaunt、Even、Sotheby's)。
  • 顔をベールやマスクで覆う手法も、最初のショーから続く。後任のクリエイティブ・ディレクターたちも、受け継いでいる(Flaunt、nss magazine、Numéro)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:Maison Margiela 公式「ナンバリングコード」「アーティザナル(Line 0)」 https://www.maisonmargiela.com/ja-jp/mm-brand-code.html NGV「Maison Martin Margiela Bodice and Dress and apron」 https://www.ngv.vic.gov.au/essay/maison-martin-margiela-bodice-and-dress-and-apron/ Even Magazine「The Four White Stitches」(Daniel Penny) https://evenmagazine.com/?p=3674 Flaunt「Margiela/Galliera 1989-2009」 https://www.flaunt.com/blog/marigela-galliera nss magazine「The meaning of Maison Margiela's numbers」 https://www.nssmag.com/en/fashion/19578/the-meaning-of-maison-martin-margiela-s-numbers nss magazine「Martin Margiela: Anonymity & Design in Fashion」(2025年9月2日) https://www.nssmag.com/en/fashion/42452/martin-margiela-anonymity-design-miley-cyrus Sotheby's「The Raw Innovation of Martin Margiela」 https://www.sothebys.com/en/articles/the-raw-innovation-of-martin-margiela Luxe Digital「Maison Margiela」 https://luxe.digital/brands/maison-margiela/ The Fashion Commentator「Martin Margiela, the one and only」 https://thefashioncommentator.com/?p=113 Numéro「Glenn Martens unveils his debut Maison Margiela Artisanal show」(2025年7月) https://numero.com/en/?p=704277 Wikipedia「Maison Margiela」「Martin Margiela」 (確認日:2026年10月24日。番号の意味と、アルチザナルの誕生年は、メゾンの公式サイト(日本語版)に合わせた)

CONTINUE READING