マーカージュとは
マーカージュ(marquage)は、ゴヤールの手描きのパーソナライゼーションだ。持ち主の名前やイニシャル、ストライプなどを、職人が筆で描き入れる。
起源は、川の丸太
フランソワ・ゴヤールの家業は、薪を筏で運ぶ川の仕事で、持ち主を見分けるために、丸太に印を付けていた。フランソワは、その技法をトランクづくりに取り入れ、以来、パーソナライゼーションはメゾンの中心的な技術になった。

旅の荷物の「目印」
鉄道や客船の旅では、山積みの荷物のなかから、自分のトランクを見つけることが大切だった。描かれた頭文字や縞は、飾りであると同時に、実用の目印でもあったと考えられる。
どう選ぶか
選べるのは、フルネームまたはイニシャル、1本または複数のストライプ、鮮やかな色や落ち着いた色合い、そして幅広いモチーフとカラーである。選ぶときの視点を、編集部の考えとして、挙げておく。
- イニシャル:文字の数と配色で、印象が大きく変わる。控えめにしたいなら、鞄の地色に近い色を選ぶ
- ストライプ:本数と配色で、遠目にも自分の鞄と分かる。初めてなら、少ない本数が合わせやすい
- モチーフ:好きな意匠を、一つだけの印にする。長く使うものなので、長く使うものなので、自分の好みで選びたい
しるしは、「色」でもある
ウィンザー公爵夫妻は、1939年に、初めてゴヤールを注文し、その後も生涯にわたって、トランクやスーツケースを買い続けた上顧客だった。作品は、公爵夫人が青と黄色、公爵が赤と黄色という、それぞれのトレードカラーで仕上げられている。
名前や頭文字だけでなく、色の組み合わせその物が、持ち主を表すしるしになる。ストライプの配色を選ぶときの、一つのヒントになるだろう。
作った人の印も、入っている
持ち主の印があるように、作った人の印もある。ゴヤールのトランクには、製造番号と、製作した職人のイニシャルが記される。全てのトランクは、南フランスのカルカソンヌにあるメゾンの工房で、専門の職人が数週間かけて、一つ一つ作る。
手描きの手順
職人が完全に手作業で、天然の顔料をベースにした独自の色を使う。ステンシル、筆、塗料、乾燥といった具体的な工程は、公式のページには書かれていない。愛好家向けの紹介記事には、ステンシルを使い、筆で塗料を重ねると書く物もあるが、公式の説明ではないので、ここでは詳しく書かない。

納期と料金
オンラインでも
パーソナライズできる商品を並べたページがあり、オンラインのシミュレーターで、仕上がりを確認できる。2026年10月11日に確認したときの対象は96点で、バッグ、財布・カードケース、ポーチ、パスポートケースなどが並び、各商品は11色から選べた。サン・ルイも、このなかにある。
迷ったときの考え方
決めきれないときは、次のような順番で考えると、整理しやすい。
- ふだんの持ち物の色を見る:鞄、靴、時計のベルトなど、よく身に着ける色のなかから、1〜2色を選ぶ
- 文字は短くする:イニシャルだけにすると、鞄そのものの印象を邪魔しにくい
- 仕上がりを確かめる:公式サイトのオンラインシミュレーターで、色と配置を見てから決める
マーカージュは、一つだけの印を持つということ。その由来を知ってから選ぶと、描かれた縞の一本にも、物語が見えてくる。


