形と機能
公式サイトの About は、HELIOT EMIL を、実験的なアプローチで動かされる、形と機能の間の線を探るブランドと書いている。黒を基調にした、スカンジナビアらしい美意識に、自分たちで開発した素材、生地、付属品を合わせる。金具の一つ一つは、形と機能を考えて、一から作られる。パートナーは、各分野で最高のところだけと組み、その近い関係が、ブランドの美意識を一貫して育てる、とも書いている。
毎シーズンの主題
2023年秋冬:ヘンリー・ムーア
公式のショーのページによれば、ジュリアスは、イギリスの彫刻家ヘンリー・ムーアの作品に着想を得て、伝統的な形や柄を問い直すコレクションを作った。ムーアの彫刻は、屋外に置かれ、自然な緑青や質感を得る。コレクションでは、生地を、熱や水、強い引き裂きで加工して、同じ質感を狙った。曲がったファスナー、歪んだシルエット、非対称の細部が並ぶ。
2024年春夏:チューリング・パターン
公式サイトによれば、2024年春夏のコレクションは、アラン・チューリングが1952年に発表した論文「形態形成の化学的基礎」に着想を得た。縞、円、六角形、渦巻きなど、自然の中の形が、数学的な手順で生まれる、という考え方である。コレクションでは、レーザーカットの繰り返しの模様が、少しずつ変わりながら、H の形をつくる。

2025年春夏:エリアソンの「Riverbed」
公式のショーのページによれば、「CULTURAL CONSTRUCT ARTIFICIAL LANDSCAPE」は、オラファー・エリアソンの、インスタレーション「Riverbed」に着想を得た。火山の風景を思わせる作品である。
色は、アイスランドの風景から、火山の黒、石の色、氷河の白を取った。ENCOR studio と、電流で透明度が変わる、エレクトロクロミック・ガラスの作品を作り、モデルが、ガラスの彫刻を、身に着けた。
2026年春夏:EQUINE
公式サイトによれば、「EQUINE」は、馬の優雅さ、骨格、文化的な意味を主題にした。馬具の、はみ、留め具、バックルを、機能の部品として、服に取り入れた。コレクションの色は、たてがみのようで、構造のあるアウターは、動物の胴と骨格を思わせる。ロマンチックな田園の風景の再現ではなく、馬を、強さ、仕事、精神の象徴として祝うコレクションだという。
2026年秋冬:CYMATICS
公式のショーのページによれば、「CYMATICS」は、音の視覚的な言語から着想を得たコレクションである。サイマティクスは、振動が、目に見える形になる現象で、平らな面に撒いた砂が、音の周波数で、模様をつくる。曲線、とがり、さざ波が、シルエットと、重ね方と、質感の参照になった。
ロゴの考え方
8桁の数字
公式サイトによれば、新しいビジュアル・アイデンティティでは、工業の世界を参照した、数字の体系がつくられた。製品ごとの8桁のコードは、素材(00〜09)、シーズン(10〜19)、位置(20〜29)、製品の性質(30〜39)の、4つの面を示す。この数字が、ロゴに入るため、ロゴは、製品ごとに変わる。

二つのプラス
ブランドの記号は、二つのプラス(++)を並べたもので、二つで、H の形になる。公式サイトは、プラスを、数学的な精密さと明快さを持つ、普遍的な言葉と書き、優雅さと工業性の対話を、示すと説明している。この記号は、会社のロゴの代わりではなく、デジタルや実物で使う、追加の資源とされている。
見方
素材も金具も記号も、数学、彫刻、風景、音と、服の外の主題から、論理的に組み立てられている。HELIOT EMIL を選ぶときは、主題の説明を読んでから、服の細部を見ると、形の理由が、見えやすい。ブランドの歴史は、別の記事で読める。


