2026年春夏のショー
2025年9月、SUNNEI は、2026年春夏のコレクションを、ミラノで、オークションの形で見せた。パートナーは、オークションハウスのクリスティーズ。会場は、ファッションショーというより、競りの場だった。
「ファッション・ドル」
招待客は、入り口で、銀色のスクラッチカードを受け取った。削ると、この想像上の経済で使える「ファッション・ドル」の額が分かる。通貨は、実在しない。このことが、ショーの冗談の核だった。
最初のロット
巨大な木箱が、運び込まれ、開くと、巨大な SUNNEI のロゴが現れた。これが、最初のロットである。客が競り、ハンマーが落ち、ブランドその物が、象徴的に売られた。The Impression などの報道によると、ブランドの競りは、600万「ファッション・ドル」から始まり、1億1,200万で落札された。

二つ目の箱
次の箱には、ロリス・メッシーナとシモーネ・リッツォが、入っていた。クリスティーズ・イタリアのマネージング・ディレクター、クリスティアーノ・デ・ロレンツォが競りを進め、客も調子を合わせて、競りは、ガベルの音で終わった。Daily Front Row は、二人が、9,500万「ファッション・ドル」で、匿名の電話入札者に落札されたと伝えている。
服は、舞台装置
競りの仲介役は、SUNNEI のコミュニティのメンバーで、2026年春夏の服を着て、会場を動いた。遊び心があり、建築的で、いつもの皮肉がきいた服だったが、この日の主役ではなかった。Designscene は、服は、パフォーマンスの足場だったと書いている。
数時間後
ショーの数時間後、二人は、SUNNEI から退くことを発表した。冗談に見えた物が、予告に変わった。Designscene は、この競りを、ファッションの商品化への比喩であり、芝居に偽装した別れの言葉だったと評している。作り手より、ブランドが長生きする世界で、作者の存在がいかに脆いか。その矛盾を、二人は、自分たちを売ることで示した。

ブランドのその後
Daily Front Row によると、SUNNEI は、2020年に、ヴァンガード(Vanguard)から600万ユーロの投資を受け、事業の拡大を試みたが、その後、財務の苦境に直面したという。同誌は、ブランドが清算に入ったとも伝えている。
どう受け取るか
ここまで読むと、この出来事は、ブランドの「終わり」を、最後までブランドの作品にした、とも読める。何が真実の別れで、何が演出なのか。その境目を曖昧にしたまま幕を閉じたことも、いかにも SUNNEI らしいと思う。


