白い空間に、幾重にも重なって垂れる藍色のデニムの大きな布
DESIGN

ねじれ、重ね、だまし絵──Y/PROJECT のデザインを読む

ねじれたジーンズ、片袖のパーカー、だまし絵のトップス。Y/PROJECT の署名は、見た目より、服の作り方にあった。デザインの特徴を、インタビューと報道から読む。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.23 | 更新 2026.10.24 | 読了 3分 イメージ画像(AI生成):デニムの布のイメージ(実在の商品ではありません)
署名は、見た目ではなく、作り方。
一枚の服に、いくつもの着方を詰め込んだ。

署名は、作り方

革の技術から

Highsnobiety によれば、マーティンスは、セルファティを、革の達人で、そのことが、服の裁ち方と、組み立て方を決めていた、と語っている。ブランドは、その考え方に、忠実であり続けた。そのため、Y/PROJECT の署名は、服の見た目ではなく、作り方になった、と記事は書いている。巨大な革やデニムの布が、洞窟のように広く、同時に、肌を見せる服に仕立てられた、とも伝えている。

ボディに待ち針で留めた、黒い革と灰色のナイロンの断片
イメージ画像(AI生成):構造を組み立てる作業のイメージ(実在の商品ではありません)

代表的な形

片袖のパーカーと、チャップス付きのジーンズ

AnOther の2016年のインタビューによれば、マーティンスの机には、チャップスが組み込まれたジーンズの、細かい図面が置かれていた。同じ記事は、片袖のグレーのパーカーを、Y/PROJECT が持つ、見慣れているのに組み替えられた、デザインの言葉の一つとして挙げている。

Highsnobiety によれば、マーティンスが、一番好きだったルックは、片袖のグレーのパーカーを、三重のベルトの、擦り切れたジーンズに合わせた、中性的な組み合わせだった。

デニムの下着と、だまし絵

Highsnobiety は、デニムの下着「Janties」を、発売当時、アメリカのテレビ番組で、最もばかげた物の一つとして紹介されたと書いている。

縁がほつれた、洗いざらしのデニムを積み上げた山
イメージ画像(AI生成):デニムの素材のイメージ(実在の商品ではありません)

マーティンスは、その件を、少しだけ誇らしげに受け止め、「私たちは、少し時代を先取りする。Janties を、他の多くのブランドが採り入れたのを見るのは、嬉しい」と語っている。nss magazine は、ジーンズの様々な型と、だまし絵のトップスを、カルト的な人気を得た製品として挙げている。

2016年、ウィメンズが固めた形

エリザベス朝と、スポーツ

AnOther によれば、2016年秋冬のコレクションでは、ビショップスリーブのチュニックや、高い襟の飾りのシャツと、継ぎ接ぎのスポーティなボンバー、ムートンの細い帯で作った、アビエーター風のジャケットが、混ざり合っていた。

マーティンスは、このコレクションを、エリザベス朝の少女が、幻覚を見ているような姿だと表現している。Highsnobiety は、この時期に、ベルギー的なシュルレアリスム、冗談、豪華さ、汎用性という、ブランドの柱が、育ったと書いている。

考え方

問いは与え、答えは与えない

Highsnobiety のインタビューで、マーティンスは、一つのジャケットを、ショーで見せた通りに着ても、解体しても、重ねを外して、より肌を見せる形にしても良い、と述べている。「Y/PROJECT では、問いを与えるが、答えは、決して与えない」という言葉も、同じ記事で紹介されている。

W Magazine によれば、マーティンスは、Y/PROJECT の仕事を、構造を組み立てていく展開だった、と説明している。H&M との協業で使った、服の内側に箔を入れる技法は、Y/PROJECT で試して、完成できなかった物だという。The Impression は、Diesel でのだまし絵、ねじり、巻く手法が、Y/PROJECT での実験の上に築かれた、と書いている。

見方

Y/PROJECT の服は、完成した答えを着せるのではなく、着る人に、どう着るかを任せていた。AnOther によれば、マーティンス自身も、服が、着る人の後ろに隠れるのではなく、人を強める物であってほしい、と語っている。

要点

POINTS
  • Highsnobiety によれば、Y/PROJECT の署名は、服の見た目ではなく、作り方にあった。革の達人だったセルファティの、裁ち方と組み立て方が、ブランドに残った。
  • 代表的な形として、片袖のグレーのパーカー(AnOther)、三重のベルトのジーンズ(Highsnobiety)、デニムの下着「Janties」(Highsnobiety)、だまし絵のトップス(nss magazine)が挙がる。
  • マーティンスは、一着の服を、見せ方の通りにも、解体しても、重ねを外しても着られると語り、「問いを与え、答えは与えない」と述べた(Highsnobiety)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:Highsnobiety「After 10 Years of Glenn Martens, the Y/Project Story Is Still Unfolding」 https://www.highsnobiety.com/p/10-years-y-project/ AnOther「Exploring Paris' Underbelly of Possibilities with Y/Project」(2016年3月7日) https://www.anothermag.com/fashion-beauty/8452/exploring-paris-underbelly-of-possibilities-with-y-project nss magazine「Y/Project has closed down」(2025年1月9日) https://www.nssmag.com/en/fashion/39462/y-project-closes W Magazine「Glenn Martens's H&M Collaboration Is a Final Goodbye to Y/Project」(2025年10月17日) https://www.wmagazine.com/fashion/glenn-martens-hm-collab-y-project-interview-pictures The Impression「Glenn Martens to Exit Diesel」(2026年9月) https://theimpression.com/glenn-martens-exits-diesel-maison-margiela/ (確認日:2026年10月23日)

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