雨に濡れた石畳と、階段状の切妻のレンガの家が並ぶ運河沿いの通り
THE DESIGNER

グレン・マーティンスという人──ブルージュから、Y/PROJECT、Diesel、Maison Margiela へ

ブルージュで育ち、アントワープで学び、Y/PROJECT を引き継いだグレン・マーティンス。Diesel を経て、Maison Margiela へ。経歴と、服の作り方の考え方を、インタビューと報道から読む。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.23 | 更新 2026.10.24 | 読了 4分 イメージ画像(AI生成):ベルギーの街のイメージ(実在の場所ではありません)
服ではなく、歴史に夢中だった少年が、
三つのブランドを手掛けるデザイナーになった。

歴史に夢中だった少年

ブルージュから、アントワープへ

AnOther のインタビューによれば、マーティンスは、ベルギーのブルージュで育った。服の世界とは縁がなく、歴史に夢中で、エジプト学者か、考古学者になりたかったという。最初は、インテリアデザインを学び、学校の旅行で出会った、アントワープの王立美術アカデミーに、願書を出した。身長が1.85メートルあり、モデルのような体型の学生を、学校が、二、三人は取るからだろう、と笑って語っている。

石の彫刻の断片が並ぶ博物館の広間と、台に置かれたデニム
イメージ画像(AI生成):歴史への関心のイメージ(実在の場所ではありません)

同じ記事によれば、マーティンスは、アカデミーで3年先輩だった、デムナ・ヴァザリアの、フィットモデルを務めたことがある。

Y/PROJECT まで

Gaultier、Bruno Pieters、セルファティ

AnOther によれば、マーティンスは、卒業後、Jean Paul Gaultier と、Bruno Pieters で経験を積み、それが、セルファティのアシスタントの仕事に繋がった。

2013年に、セルファティが亡くなると、自分の名前のウィメンズのブランドを続けていたマーティンスに、エラルフが、声を掛けた。マーティンスは、2013年から、Y/PROJECT のクリエイティブ・ディレクターを務め(The Impression)、2024年9月に、退任した(W Magazine)。

服の作り方

ムードボードではなく、ドローイング

マーティンスは、AnOther のインタビューで、「ムードボードは、一度も作らない」と語っている。始まりは、詳しいドローイングか、試したい技法で、机の上には、ズボンに、チャップスが組み込まれた、細かいジーンズの図面が置かれていた。素材や出発点に、少し不快に思う物を選び、それを、とても美しくするか、まったく変えてしまうのが、仕事だとも話している。

ジーンズの細かい図面と、デニムの見本が置かれた製図の机
イメージ画像(AI生成):デザインの作業のイメージ(実在の商品ではありません)

強くて、着られる服

同じインタビューで、マーティンスは、「強くて、人目を引き、着られる服を作りたい」と語り、社会的で、芸術的で、売れる、その中間を探したいと述べている。HUNGER のインタビューでは、Y/PROJECT の特徴を、三つの言葉で、「折衷的、祝祭的、豪華」と答え、ミニマルではない、と付け加えている。ファッションを続ける大きな理由の一つは、楽しさだ、とも話している。

三つのブランド

Diesel

The Impression によれば、マーティンスは、2018年に、Diesel の実験的なプロジェクト Red Tag に招かれ、2020年に、Diesel のクリエイティブ・ディレクターに就いた。

ダメージ加工、だまし絵の処理、ねじり、巻く手法などの、デニムの実験が、Diesel でも、繰り返し現れた。そこには、Y/PROJECT での実験が、土台にあった、と記事は書いている。2026年9月22日の、ミラノ・ファッションウィークでのショーが、最後のコレクションになった。

Maison Margiela

The Impression によれば、マーティンスは、Diesel を退いた後も、同じ OTB グループの、Maison Margiela のクリエイティブ・ディレクターに留まる。2025年7月の、パリのオートクチュール・ウィークで、最初のアーティザナルのコレクションを発表した。

W Magazine は、マーティンス自身の言葉として、Diesel はデニムのブランドで、Margiela には、グラフィックの遺産があり、Y/PROJECT は、構造を組み立てる手法が中心だった、と伝えている。

人物から見る

歴史に夢中だった少年が、ねじれと、冗談と、構造の服を作るようになった。Y/PROJECT、Diesel、Maison Margiela という三つのブランドは、マーティンスの中で、別の問いに答えている、というのが、W Magazine の記事から読み取れる。

要点

POINTS
  • ベルギーのブルージュ出身で、アントワープの王立美術アカデミーで学んだ。Jean Paul Gaultier などで経験を積み、セルファティのアシスタントから、Y/PROJECT を引き継いだ(AnOther)。
  • 「ムードボードは使わない」と語り、詳しいドローイングか、試したい技法から、服を作り始める(AnOther)。
  • 2020年から Diesel のクリエイティブ・ディレクターを務め、2026年9月の最後のショーで退任した。Maison Margiela は、引き続き率いる(The Impression)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:AnOther「Exploring Paris' Underbelly of Possibilities with Y/Project」(2016年3月7日) https://www.anothermag.com/fashion-beauty/8452/exploring-paris-underbelly-of-possibilities-with-y-project HUNGER「Y/Project's Glenn Martens is putting fun back into fashion」(2018年8月31日) https://www.hungertv.com/editorial/exclusive-y-projects-glenn-martens-is-putting-fun-back-into-fashion/ W Magazine「Glenn Martens's H&M Collaboration Is a Final Goodbye to Y/Project」(2025年10月17日) https://www.wmagazine.com/fashion/glenn-martens-hm-collab-y-project-interview-pictures The Impression「Glenn Martens to Exit Diesel」(2026年9月) https://theimpression.com/glenn-martens-exits-diesel-maison-margiela/ (確認日:2026年10月23日)

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