白い保存用の箱が並ぶ収蔵庫の棚と、開いた一箱
CLOSURE × LEGACY

Y/PROJECT の閉鎖と、受け継がれたもの──美術館へ、Diesel へ、Maison Margiela へ

2025年1月に、14年の歴史に幕を閉じた Y/PROJECT。創業者の死、デザイナーの退任、買い手の不在。アーカイブの寄贈と、グレン・マーティンスの今に残った物を、報道の原文から読む。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.23 | 更新 2026.10.24 | 読了 4分 イメージ画像(AI生成):アーカイブのイメージ(実在の場所ではありません)
ブランドは、閉じた。
服の作り方は、別の場所で、続いている。

閉鎖まで

2024年、重なった変化

The Impression によれば、Y/PROJECT は、14年の歴史の後、事業を終えると発表した。共同創業者ジル・エラルフの死と、クリエイティブ・ディレクターのグレン・マーティンスの退任が、大きな転機になった。マーティンスは、2013年から、ブランドに関わっていた。nss magazine は、エラルフと、CEO のパスカル・コンテ=ジョドラ、マーティンスが、ブランドを離れたと書いている。

管理下に置かれ、買い手が見つからず

The Impression によれば、Y/PROJECT は、パリの商事裁判所の管理下に置かれ、資金繰りの問題から、2024年秋のショーを中止した。nss magazine は、2025年1月9日に、投資家を見つけられず、閉鎖が確定したと伝えている。

シャッターが降りた、パリの石造りの店先と、濡れた歩道
イメージ画像(AI生成):閉鎖した店のイメージ(実在の場所ではありません)

WWD の報道を引いて、香港の投資会社 AA Investments が、4万5000ユーロでの買収を申し出たとも書くが、ブランドの幹部は、この件に、コメントしなかった。

発表の言葉

The Impression は、ブランドの声明を引いている。「Y/PROJECT と、チームは、長年、ブランドを支えてくれた、全ての協力者に感謝する。特に、グレン・マーティンス、パスカル・コンテ=ジョドラ、そして、故ジル・エラルフに、チームが、創り、成長する余地を与えてくれたことに」。

古い図書館の広間に並ぶ椅子と、高い窓から差す一筋の光
イメージ画像(AI生成):ショーの後のイメージ(実在の場所ではありません)

The Impression によれば、閉鎖の理由は、買い手を確保できなかったことと、ラグジュアリー市場全体の厳しさだった。

アーカイブの行き先

The Impression によれば、エラルフを偲んで、ブランドは、アーカイブの数点を、ニューヨークのメトロポリタン美術館、アントワープの MoMu、パリのガリエラ宮、装飾芸術美術館に寄贈する。

新しい服は、作られなくなるが、その影響は、これからも、評価され続ける、と記事は書いている。nss magazine は、ジーンズの様々な型や、だまし絵のトップスが、カルト的な人気を得ていたことから、将来の復活の可能性が、完全には消えていない、との見方を示している。

受け継がれたもの

Diesel と Maison Margiela

The Impression は、マーティンスの Diesel での仕事が、Y/PROJECT で既に始まっていた実験の上に築かれた、と書いている。2020年に、Diesel のクリエイティブ・ディレクターに就いたマーティンスは、2026年9月22日の、ミラノでのショーを最後に、Diesel を退いた。Maison Margiela のクリエイティブ・ディレクターには、留まる。

H&M という、最後の場所

W Magazine によれば、マーティンスは、Diesel はデニムのブランドで、Margiela には、グラフィックの遺産があり、Y/PROJECT は、構造を組み立てていく展開だった、と語っている。

Y/PROJECT という居場所を失って、行き場がなくなった発想を、H&M との協業で、形にした。服の内側の箔の技法や、スナップで調節できるブーツは、Y/PROJECT で、製品にできなかった物だった。マーティンスは、このコレクションを、Y/PROJECT への「白鳥の歌」だと位置づけている。

見方

nss magazine は、Y/PROJECT の評価が、マーティンスの評価と、切り離せなかった、とも指摘している。ブランドは閉じたが、服の作り方は、人を通じて、別のブランドに、受け継がれている。

要点

POINTS
  • 2024年に、共同創業者のエラルフの死と、マーティンスの退任が重なり、パリの商事裁判所の管理下に置かれた。2025年1月に、買い手が見つからないまま、閉鎖が発表された(The Impression、nss magazine)。
  • アーカイブの一部は、エラルフを偲んで、メトロポリタン美術館、MoMu、ガリエラ宮、装飾芸術美術館に寄贈される(The Impression)。
  • マーティンスは、Diesel(2020〜2026年)を経て、Maison Margiela を率いる。Y/PROJECT で試した技法は、H&M との協業で、形になった(W Magazine、The Impression)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:The Impression「Y/Project Closes After 14 Years」(2025年1月) https://theimpression.com/y-project-closes-after-14-years/ nss magazine「Y/Project has closed down」(2025年1月9日) https://www.nssmag.com/en/fashion/39462/y-project-closes W Magazine「Glenn Martens's H&M Collaboration Is a Final Goodbye to Y/Project」(2025年10月17日) https://www.wmagazine.com/fashion/glenn-martens-hm-collab-y-project-interview-pictures The Impression「Glenn Martens to Exit Diesel」(2026年9月) https://theimpression.com/glenn-martens-exits-diesel-maison-margiela/ (確認日:2026年10月23日。エラルフの死去の月、アーカイブの寄贈の完了は、原文では確認できていない)

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