夕方の荒れた遊び場の地面に、長く敷かれた生成りの白い綿布と、錆びた遊具
SINCE 1988

Maison Margiela、1988年にパリで始まった、名前を消したブランドの歩み

1988年に、マルタン・マルジェラとジェニー・メイレンスが、パリで始めた Maison Margiela。創業、顔を出さない流儀、2002年の OTB、2009年の創業者の退任、2015年の社名の変更、ガリアーノとグレン・マーティンスまで。複数の資料で確かめた事実だけで、38年の歩みを読む。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.10.27 | 更新 2026.11.03 イメージ画像(AI生成):パリの荒れた遊び場のイメージ(実在の場所ではありません)
名前を、服から消す。
その方針は、創業者が去った後も、続いている。

始まり

1988年、パリで

MoMu の展覧会の紹介によれば、アントワープの王立美術アカデミーを出て、ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタントを務めたマルタン・マルジェラは、ジェニー・メイレンスと、1988年に、Maison Martin Margiela を創設した。最初のファッションショーは、同じ年の10月に開かれた。

Flaunt と The Fashion Commentator は、そのショーを、パリのマレ地区のカフェ・ド・ラ・ガールで開かれた、1989年春夏のコレクションと伝える。白い綿布の上を、赤い絵の具に浸した足で歩くモデルの顔は、ベールで覆われていた。

漆喰の剥がれた壁の古い劇場の、何もない低い舞台と、白い綿布の通路、壁際に並ぶ木の椅子
イメージ画像(AI生成):古い劇場のイメージ(実在の場所ではありません)

最初の服

MoMu は、肩幅が極端に狭く、丈の長いシルエットが、1980年代のパワードレッシングとは、正反対だったと書く。古着や、商業的な価値の低い素材を使い、服の内側と構造を見せることが、持ち味になった。

名前を出さない

MoMu によれば、マルジェラは、早い時期から、服に語らせると決め、人前に出ることを断ってきた。インタビューは、全てメゾンの名前で答え、デザイナーの写真は配られなかった。これは、1980年代と1990年代の、スター化したファッションへの、はっきりした反応だった。

服には、無地の白いラベルが付き、4つの白い針目で留められた。針目は、無記名の署名のように、メゾンの印になった(NGV、Even)。

広がる

Sotheby’s と Wikipedia によれば、1989年秋に、パリの荒れた遊び場で開いたショーでは、近所の子どもたちが、編集者やバイヤーと並んで、最前列に座った。Sotheby’s は、このショーが、ブランドの評価を決定づけたと書く。

光が差す荒れた劇場の木の床に広がる、長い生成りの白い綿布
イメージ画像(AI生成):古い劇場のイメージ(実在の場所ではありません)

Wikipedia によれば、マルジェラは、1997年から2003年まで、エルメスの、ウィメンズのクリエイティブ・ディレクターを務めた。Even は、この協働が、12シーズン続いたと書く。メゾンの公式サイトによれば、メンズのコレクション(ライン10)は、1999年春夏に始まった。

OTB と、創業者の退任

2002年に、レンツォ・ロッソの OTB が、Maison Margiela の過半数の株式を取得した(Wikipedia、Luxe Digital)。

マルジェラは、2008年に引退を決めた(NGV)。2009年12月に、正式にブランドを離れ、後任は指名されなかった(Wikipedia)。NGV によれば、マルジェラは、10年後の2018年に、公に出した声明で、世界的に増す圧力と、商取引の要求に、もう対応できなくなったと、理由を説明している。

ガリアーノの10年、そして、今

2014年に、ジョン・ガリアーノが、クリエイティブ・ディレクターに就いた(Wikipedia)。FashionUnited によれば、2015年1月に、ロンドンで開かれたガリアーノのクチュールの復帰ショーで、社名から「Martin」が外れ、Maison Margiela になった。正式な発表は、なかった。

ガリアーノは、10年を務め、2024年12月に退いた(nss magazine、ロイター)。2025年1月29日に、OTB が、グレン・マーティンスの就任を発表した。会長のレンツォ・ロッソは、「マルタンがメゾンとアルチザナルを生み、ジョンが最先端のクチュールハウスにした。その三人目のクチュリエを迎える」と述べた(OTB)。

今、読むなら

創業者のマルタン・マルジェラの人物像、ラベルとタビなどの印、歴代のクリエイティブ・ディレクター、2026年の今は、別の記事で読める。

要点

POINTS
  • 1988年に、ベルギー出身のマルタン・マルジェラが、パリで創設した(メゾン公式)。共同創業者はジェニー・メイレンスで、最初のショーは、同じ年の10月に開かれた(MoMu、NGV)。
  • 2002年に、レンツォ・ロッソの OTB が過半数の株式を取得した。マルジェラは、2008年に引退を決め、2009年に正式に離れた。2014年に、ジョン・ガリアーノが就き、2015年1月に、社名から「Martin」を外した(Wikipedia、NGV、FashionUnited)。
  • ガリアーノは、2024年12月に退き、2025年1月29日に、グレン・マーティンスが就いた(OTB 公式発表)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:Maison Margiela 公式「メゾン マルジェラについて」「ナンバリングコード」 https://www.maisonmargiela.com/ja-jp/mm-brand-home.html MoMu「Maison Martin Margiela ‘20’ The Exhibition」 https://www.momu.be/en/exhibitions/maison-martin-margiela-20-the-exhibition NGV「Maison Martin Margiela Bodice and Dress and apron」(Art Journal 59) https://www.ngv.vic.gov.au/essay/maison-martin-margiela-bodice-and-dress-and-apron/ Sotheby's「The Raw Innovation of Martin Margiela」 https://www.sothebys.com/en/articles/the-raw-innovation-of-martin-margiela Flaunt「Margiela/Galliera 1989-2009」 https://www.flaunt.com/blog/marigela-galliera Wikipedia「Maison Margiela」「Martin Margiela」「Renzo Rosso」 FashionUnited「Maison Martin Margiela drops 'Martin'」(2015年1月) https://fashionunited.uk/news/fashion/maison-martin-margiela-drops-an-m/2015011515172 Luxe Digital「Maison Margiela」 https://luxe.digital/brands/maison-margiela/ nss magazine「John Galliano's top 5 fashion shows at Maison Margiela」(2024年12月12日) https://www.nssmag.com/en/fashion/39228/john-galliano-s-top-5-fashion-shows-at-maison-margiela Inside Retail(ロイター)「Maison Margiela taps Glenn Martens as new creative director」(2025年1月30日) https://insideretail.com.au/sectors/maison-margiela-taps-glenn-martens-as-new-creative-director-202501 OTB Group「Maison Margiela appoints new Creative Director」(2025年1月29日) https://www.otb.net/news/maison-margiela-appoints-new-creative-director (確認日:2026年10月24日。メゾンの公式サイトは、日本語版で確認した。資料で食い違う点は、記事から外した)

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