藍、赤、からし色のインクの小さな瓶、筆、のびやかな曲線を鉛筆で描いたトレーシングペーパーが広がる、窓辺の長い机
PAISLEY

カシミールから、ミラノへ──ETRO のペイズリーを読む

涙の形の柄は、カシミールのショールにも、メソポタミアの「命の樹」にも、結びつけられてきた。1981年に ETRO が発表したペイズリーは、鉛筆とテンペラで描かれ、何度も刷り重ねられる。その成り立ちを、資料で整理する。

文 Shiori Kinugasa | 公開 2026.11.01 | 更新 2026.11.02 イメージ画像(AI生成):手で描く作業のイメージ(実在の作品ではありません)
涙の形は、東から西へ、渡ってきた。
手で描かれた線が、一つの家の印になった。

ペイズリーとは

Forbes JAPAN は、ペイズリーを、カシミール地方の、涙の形をした柄と説明する。メソポタミアでは、ナツメヤシの種、つまり「命の樹」を表すとされ、重要な意味を持っていた。柄は、東から西へ広がり、王族や貴族への贈り物のショールの柄として、一般的になった。

1981年、エトロの最初のペイズリー

Forbes JAPAN と VO+ によれば、エトロは、1981年に、室内装飾の生地のコレクション「Arredamento」で、独自のペイズリーを発表した。VO+ は、このペイズリーを、ブランドを示す柄と書く。

手で描き、刷り重ねる

Forbes JAPAN によれば、エトロのペイズリーは、鉛筆とテンペラ絵の具で、手で描いた原画を、何段階ものシルクスクリーンで、生地に写して作る。

机に置いた木の刷りの枠と、スキージー、藍、赤、からし色のインクの小さな鉢、下に敷いたクリーム色の布
イメージ画像(AI生成):刷りの作業のイメージ(実在の物ではありません)

家の中へ、服へ

Forbes JAPAN は、ペイズリーが、1980年代のレザーグッズ(ハンドバッグ、トラベルバッグ)、ホームのコレクション、1990年代のメンズとウィメンズの服まで、広く使われたと書く。

2018年、命の樹

VO+ によれば、2018年春夏のショーは、創業50周年を祝い、「命の樹」の象徴に敬意を示した。インドの民俗を、ボヘミアン風に見直したコレクションで、ペイズリーが、繰り返し現れた。ミラノの Via Spartaco 3 にある、歴史ある本社には、柄の資料が保管され、コレクションの着想になったと、同じ記事が書く。

2026年のペイズリー

Milano Finanza(2026年9月25日)によれば、2027年春夏のコレクションは、ペイズリーの柄を、光のように、ぼかして扱う「HALO」の考えで作られた。詳しくは「2026年の ETRO」で読める。

要点

POINTS
  • 1981年に、ETRO は、室内装飾の生地のコレクション「Arredamento」で、独自のペイズリーを発表した(Forbes JAPAN、VO+)。
  • ペイズリーは、カシミールの涙の形の柄で、メソポタミアでは、ナツメヤシの種、「命の樹」を表すとされる(Forbes JAPAN)。
  • ETRO のペイズリーは、鉛筆とテンペラ絵の具で描き、何段階ものシルクスクリーンで刷る(Forbes JAPAN)。2018年春夏は、「命の樹」への敬意を示した(VO+)。
この記事を書いた人 Shiori Kinugasa
参考資料:Forbes JAPAN「ETRO」(2016年11月) https://forbesjapan.com/articles/detail/14206 VO+「Etro's 50th Anniversary」 https://www.vo-plus.com/en/trend/etro-s-50th-anniversary Wikipedia「Etro」 https://en.wikipedia.org/wiki/Etro ETRO 公式サイト「Company profile」 https://www.etro.com/ee-en/company-profile.html (確認日:2026年10月27日。公式の会社紹介は、1981年のペイズリーの発表と、ミラノの本社 Via Spartaco の柄の資料庫を書く。柄の由来の説明は、Forbes JAPAN の記述に拠る。ペイズリーの起源には諸説あり、ここでは、資料が書く説明として紹介した)

CONTINUE READING